「エフェクター」とはギターの音を変化させたり特殊な効果を与えたりする電気機材のことです。
歪や、コーラス、リバーブなど様々な効果が得られるエフェクターがあり、同じ効果でも個性があります。
ギター・エフェクターは「オン・オフ」は足でおこない、音を変えたい時に切り替えれ使用します。
例えば、ギターソロ時、ギターアレンジを効果的にしたい時、ギターの音が物足りない時など、ギターを弾く際に欠かせないアイテムがエフェクターです。
この記事は「ギター初心者にわかりやすくギター・エフェクターの種類を解説」していきます。
たくさんありますが、全て覚える必要も揃える必要のもないので気軽に読んでください。
初心者にわかりやすく解説!ギター・エフェクターの種類
ギターのエフェクターといっても様々な種類があるので、まずはどういった種類のエフェクターがあるか確認しましょう。
- 歪み系
- モジュレーション系(ゆらゆら)
- 空間系
- フィルター系
- ボリューム系
- プリアンプ
- シミュレーター
- オクターバー
- コンプレッサー
- リミッター
- ラインセレクター/スイッチャー
- パワーサプライ
「いっぱいあってダリー」って思うかもしれませんが大丈夫!
わかりやすく画像をつくりました。
初心者でもわかるようにざっくりと「どういった効果がえられるか」を分けてみました。
「その他」のプリアンプ、シミュレーターは複合的なエフェクターなのでその他としました。詳しくは以下に記載します。
それではそれぞれのエフェクターの詳細と利用頻度を解説していきます。
歪み系
*画像は人気NO.1のオーバードライブ
音を「歪ませる」エフェクターで、歪み系はオーバードライブ、ディストーション、ファズの順で歪みが強くなります。(物によりますが基本的には以上の順)
歪みの強さだけでなく、歪みの種類もありエフェクターにより音の個性が異なります。
- オーバードライブ 温かみがあるような歪
- ディストーション トゲトゲしい歪
- ファズ ノイズ近い歪
それぞれのエフェクターで個性が異なりますが、上記は一般的な音の印象です。
歪みはギターやアンプの種類でもかなり変わるので、歪みのエフェクターはあくまでプラスアルファとして考えるとよいでしょう。
使用頻度(5~1)
- オーバードライブ 頻度5
- ディストーション 頻度5
- ファズ 頻度1
演奏するジャンルや人それぞれの状況にもよりますが、一般的に使用頻度が高いのは「オーバードライブ」と「ディストーション」で「ファズ」はあまり使用しません。
暖かい感じに歪ませたいならオーバードライブ、ギンギンに歪ませたいならディストーション。
オーバードライブをどれだけ強くかけてもディストーションのような歪みにはならないのでエフェクター選びは注意しよう。
*あくまでエフェクターの選択は好みです。
歪ませる以外の使いかた
歪み系のエフェクターは歪ませるだけでなく、他のエフェクターと合わせて「ブースター」として使用するケースも結構あります。
音圧を上げたり歪みを更に強くする目的で使用したりします。
「アンプ自体で歪みのセッティングをして、コンパクトエフェクターでブースターをする」という使い方が一般的。
モジュレーション系(ゆらゆら)
*画像はフェイザーやフランジャー、コーラス・オートワウ等の様々なモジュレーションが内蔵されているタイプ
モジュレーション系は音をゆらすエフェクターです。
位相をずらして音に揺らぎを与えるものと、音の遅れを生み出して揺らぎを与えるものの2種類に大きく分けられます。
コーラス、フランジャー、フェイザー、トレモロ/ビブラートどれも揺らす効果が得られるエフェクターです。
- コーラス 音に揺らぎを与え、透明感や広がりを感じさせる音
- フランジャー シュワシュワとした音「原音の遅延」を利用
- フェイザー シュワシュワとした音「位相のずれた音」を原音にミックス
- トレモロ 途切れ途切れに聞こえる音。音量を周期的に上下させる。
- ビブラート 音の揺れを強く感じる音。音程を周期的に上下させる。
モジュレーション系は、音に深みを出したい時やうねりを出したい時に使用されます。
フランジャーとフェイザー、トレモロとビブラートは結構、音の効果が似ているので使用する用途で選択すると良いでしょう。
使用頻度(5~1)
- コーラス 頻度4
- フランジャー 頻度2
- フェイザー 頻度2
- トレモロ 頻度3
- ビブラート 頻度3
モジュレーション系も演奏するジャンルやそれぞれの状況にもよりますが、使用頻度が一番高いのは「コーラス」でしょう。
「アルペジオの時にかけて深みをだす」みたいな使い方。
主にクリーントーンで使用され効果も操作性もわかりやすいので、初心者はまずモジュレーション系でエフェクターを選ぶならコーラスがおすすめです。
クリーントーン以外の使いかた
コーラス、フランジャー、フェイザーはクリーントーン以外のも歪みに使用しても面白い効果が得られます。
モジュレーション系は効果が面白いので過剰に使用しないよう注意!エフェクターはあくまで必要な時に使う機材で、必ず使わなければいけないものではありせん。
空間系
*画像は代表的なBOSSのリバーブ
空間系は音に広がりを与えるエフェクターでいわゆる「空間の響き音を再現」したようなエフェクターです。
空間系の代表的なエフェクターはディレイとリバーブ
- ディレイ 「音を遅らせる」ことによって広がりをあたえる山びこ効果が得られる音
- リバーブ 「音が跳ね返ってくる」反響効果、その音がのこる残響効果が得られる音
ディレイには「アナログ・ディレイ」と「デジタル・ディレイ」があり、それぞれ特性があります。
ざっくりと言うなら、「アナログは音があったかい」「デジタルは正確」という感じで、用途や好みによ選択するとよいでしょう。
使用頻度(5~1)
- ディレイ 頻度3
- リバーブ 頻度4
空間系も演奏するジャンルや人それぞれの状況にもよりますが、使用頻度はディレイが3でリバーブが4くらいでしょうか。
それぞれ音にはっきり効果がでるエフェクターなのでいじっていて楽しいですが、しっかりとした目的をもって使用するのが効果的でしょう。
フィルター系
*画像はオートワウ
フィルター系は文字通り「音をフィルターに通し変化させる」エフェクターです。
- フィルター 周波数全体の中で一定の帯域をカットしたりブーストさせて音を変化させるエフェクター
- ワウ ギターの音をペダルで「ワウワウ」させる事が出来るエフェクター
フィルター系は音に効果を与えるというより「音そのものをフィルターに通し変化させる」エフェクターという感じです。
使用頻度(5~1)
- フィルター 頻度1
- ワウ 頻度2
フィルターはレコーディング機器等では一般的ですが、ギターのフェクターではあまり使用されません。
ワウは主にギターソロで「ワウワウ」させながら使用します。音の変化は特徴的ですが使用が限定的なので頻繁に使うものではありません。
ギターソロなどで一撃必殺のエフェクターですね。
画像のように効果をオートにする「オートワウ」もあります。
ボリューム系
*画像はBOSSの一般的なボリュームペダル
ボリューム系は音量をコントロール出来るエフェクターです。
ギター本体とアンプでそれぞれボリュームがありますが、ボリュームペダルは瞬時に足元で全体の音量をコントロールできます。
- ボリュームペダル 足元でボリュームをコントロール出来るエフェクター
- ブースター 音を「増幅」させるエフェクター
ボリューム系のエフェクターは「音量」をコントロールするためのエフェクターです。
使用頻度(5~1)
- ボリューム 頻度5
- ブースター 頻度5
音自体を変化せるエフェクターではないので、初心者は必要性を感じないでしょうが、必ず必要なエフェクターと言っても良いでしょう。
特にエレキギターを演奏する時は弾き方でボリューム調整するには限度があります。
瞬時に音を「小さくしたい」、「大きくしたい」という場面はかなり多いので必須エフェクターと言いえるでしょう。
その他ボリュームの調整により音のニュアンスやプレイの幅も広がります。
その他
その他のエフェクターは簡単に言うと「セッチングを向上させるエフェクター」です。
初心者はすぐに必要なものではありませんが知識として確認しておきましょう。
プリアンプ
プリアンプは簡単に言うとギターアンプの各種ツマミの部分だけのエフェクターです。
*Marshallのアンプから取り出したという意味ではありません。そこの機能だけのエフェクターをプリアンプと言います。
自分で選んだのプリアンプを使用すればいつでもどこでもアンプを気にせず自分のサウンドを出せます。
使用頻度2
音を作りこみたい人、いつでもどこでも同じ音を出したい人用なので、必ず使用するものではありません。
シミュレーター
プリアンプは一機種のアンプですが、アンプシミュレーターは一台でいくつものアンプサウンドを出せるエフェクターです。
「一台でいくつものアンプの音を出せる」と聞くとなんかとてもお得感がありますが、あくまで「シュミレーション」なので近い音を出すエフェクターです。
ライブで使用するというより自宅練習やレコーディングなど手軽に様々なアンプの音が欲しい時などに使用するとよいでしょう。
使用頻度2
いろいろなアンプの音を出せますが、いろんなアンプの音を必要としているかどうかで頻度が決まるかと思います。
ライブよりレコーディングなどで重宝します。
*プリアンプと アンプシミュレーターは似ていますが、プリアンプは一つのアンプ、 アンプシミュレーターは様々なアンプが収録されているもとここでは定義します。
その他マルチエフェクターにも アンプシミュレーターが内蔵されているタイプもあります。
オクターバー
オクターバーは原音に対し「1オクターブまたは2オクターブ下のサウンドを重ねて出力」できるエフェクターです。
使用頻度2
3ピースバンドなどでのソロギター時などにアンサンブに厚みを加える目的で使用されるケースがあります。
オクターバーを使用すると音の厚みは加えられますが、オクターブの響きは独特なのでフレーズや好みに左右されるでしょう。
効果がオクターブを重ねるエフェクターなので使用が難しいエフェクターでもあります。
コンプレッサー
コンプレッサーは「圧縮」という意味で、指定した境界線を越える音量を抑えて(圧縮)音量差をなくし聞きやすくしてくれるエフェクターです。
ギターではサスティン(音の響き)を伸ばすためにコンプレッサーをかける事も使い方として王道です。
使用頻度2.5
コンプレッサーはギター初心者にとっては一番分かりにくい効果で調整が難しいでしょう。
効果を簡単に言うと「弾く出力を平均化してくれ、ピッキングの粗さや演奏の強弱が軽減される」ので演奏に安定感を求めるは人良いでしょう。
しかしコンプレッサーは演者のニュアンスを消してしまうというデメリットもあります。
良くも悪くも好みがわかれるので使用頻度は2.5。
リミッター
リミッターはコンプレッサーに近い効果が得られますが、ほとんどギターには使用せずベースやレコーディングにおけるマスタリングなどに使用されます。
使用頻度1
ギタープレイではほとんど使用しないので「こんな感じのエフェクターがあるんだなぁ」くらいでいいと思います。
ラインセレクター/スイッチャー
ラインセレクターは「信号回路を切り替える」エフェクターです。
2系統の信号を切り替える「ABボックス」、3系統以上の信号を切り替える「ラインセレクター」、より複雑な回路を切り替る「スイッチングシステム」といった種類があります。
簡単に言うと、エフェクターの切り替えや音のオン・オフ、回線の切り替え等に使用するものです。
スイッチャーはラインセレクターを大規模にしたもので、ラインセレクターでは出来ない「自身で設定したプログラム」をすることが出来き、スイッチ1つでその設定に切り替わります。
使用頻度5~2
ラインセレクター/スイッチャーは、自分の使用するエフェクターの数やセッティングに合わせ必要性が異なるで「これがいい!」とおすすめできるものがないので、自分のセッティングを考慮し検討するようにしましょう。
エフェクターの種類が少なく切り替えなどの必要がない初心者なら当初は不要です。
多数のコンパクトエフェクターを使用する時、使いやすく自分用にセッチングする時に必要となるエフェクターです。
パワーサプライ
パワーサプライは「電源供給装置」です。
複数のエフェクターを使用する時にまとめて電源供給するための機材です。
エフェクターというより電源供給機材ですね。
使用頻度5~2
ラインセレクター/スイッチャー同様、使用するエフェクターの数や自分のセッティングに合わせ必要性が異なるでしょう。
たくさんコンパクトエフェクターがある人は電源をまとめられるので便利です。
ギター・エフェクターの基本的な特性を理解する
ギターのエフェクターは万能ではありません。
例えば、激しい歪みのエフェクターを買ったとしても、ギターとアンプがナチュラルなモデルであればお望みの音は出せないでしょう。
エフェクターの音は使っているギターやアンプの個性によって異なますので、エフェクターだけで好みの音を再現することは難しいと理解しておきましょう。
ギターとアンプが違くても近い音は出せますが、再現性を高めたいのであればギターとアンプは同じものを使用するとよいでしょう。
特にギターはついているピックアップの種類よって音の個性がかなり違うので、同じギターじゃなくても同じ種類のピックアップを使用しているギターを使用すると同じような音が出やすいでしょう。
エフェクターはあくまで補佐的なもので万能に音を変えるものではありません。
使用しているギター本来の音はエフェクターでは変えられないことを理解し、まずは自分が出したい音のギターを選び、補佐的にエフェクターを購入すると良いでしょう。
コンパクトエフェクターとマルチエフェクター
最後にコンパクトエフェクターとマルチエフェクターの違いについてふれましょう。
エフェクターは大きくわけて「コンパクトエフェクター」と「マルチエフェクター」があります。
- コンパクトエフェクター それぞれ1つの効果が得られるもの
- マルチエフェクター 様々な種類のエフェクターが予め入っているもの
さて、どちらを選べばよいのか・・・
それぞれメリットデメリットがあるので自分にあったエフェクターを選びましょう!
コンパクトエフェクター
メリット
- 例えば「ディストーション」と言っても様々な種類のディストーションエフェクターがあるので自分の好きな音(エフェクター)を選べる
- 基本一つの音色(効果)なので操作性が簡単
- 名前のとおり余計な機能がないのでコンパクトで持ち運びに便利
- 自分用にセッティングが組める
デメリット
- 基本一つの音色(効果)なので替えがきかない。
- 他のエフェクターとの接続に多少知識がいる。
マルチエフェクター
メリット
- たくさんのエフェクターが予め収録されているの1台でどんな音も出せる。
- エフェクター以外の機能がついているものがある
デメリット
- 多機能なため初心者は操作性が難しく使いこなせない可能がある
- 音が微妙、特に歪み系の音は使えないものが多い
- 大きいので持ち運び不便
- 一台にまとまっているので各エフェクターは交換することができない
「コンパクトエフェクター」か「マルチエフェクター」 か
一番の違いは、「エフェクター自体の替えがきくかどうか」です。
コンパクトエフェクターであれば気に入らないエフェクターだけ交換することができますが、マルチエフェクターはまとまっているのでそれができません。
特に歪みはマルチエフェクターに収録されているものより、自分で選べるコンパクトエフェクターがよい。
初心者はたくさんの音色が出せるマルチエフェクターを選びがちですが、機能が多いため使いこなせない可能性大で、設定も難しいので初心者は操作性が簡単で替えがきくコンパクトエフェクターがおすすめです。
練習用としてはいろんな音を試せるマルチエフェクターでもよいですが、始めは自分の好きな歪み系エフェクターを1つ購入し、その後必要に応じて買い足していくのが失敗しないエフェクター選びでしょう。
まとめ
この記事ではギター・エフェクターの種類と特性を解説してきました。
ギターのエフェクターは本当に様々で毎年新作が発売されるくらいたくさんあります。
すべて覚える必要も揃える必要もありませんが、「こんな感じの音になるんだなー」くらい覚えていけば必要な時に役にたつでしょう。
ちなみに、購入するときは必ず楽器屋などで実際に試奏してから購入するようにしましょう。
試奏後「納得したらネットで購入」が費用的にもおすすめです。
「多すぎてどれを選べばいいかわからない」という人はこちらの記事をどうぞ。